株価下落時に利益を狙える投資手法として注目を集めている「つなぎ売り」。空売りと同様ですが、異なる仕組みと特徴を持っています。そこで今回は、つなぎ売りについて、10000文字以内で徹底解説します。
つなぎ売りとは?
つなぎ売りとは、主に株主優待での権利落による損失を防ぐ目的で、現物で保有している銘柄を信用取引で売建することで、保有銘柄の株価下落リスクを抑えるという取引手法です。
つなぎ売りの仕組み
- 証券会社から現物取引で対象となる株を新規買付する
2. 同銘柄を同一株数信用取引を使用して新規売建注文する
3. 株価が下がったら、現物取引の買いで信用取引の売り建玉を「現渡し」で決済する
つなぎ売りのメリット
つなぎ売りをする事で実際どんなメリットがあるのかよくわからない…
つなぎ売りは現物取引の損失を信用取引の利益で相殺しようとするものです
- 株価下落による損失を抑えられる:権利落ちで株価は下がりやすくなりますが、信用取引の売建をする事で一方は損失でも一方で利益を計上できるため、結果として損失を相殺して抑えることができるのです。
- 現物で保有しているので株主優待をゲットできる:信用取引によって株価下落によるリスクをヘッジしているため、現物で保有している事で株主優待をしっかりゲットできます。
つなぎ売りのデメリット・リスク
権利落ちの損失をカバーしてくれるなら、実質損しないからやらない手がないと思うんですが?
絶対に損しないなら皆やってますが、実際はリスクやデメリットもあるので確認しましょう
- 信用取引を行うには信用取引口座の開設が必要: 信用取引は通常の取引手法ではないため、専用の口座を作成する必要があります。
- 信用取引銘柄は限られている: 信用取引は全ての銘柄が出来るわけではありませんので、株主優待をゲットしようと思っている銘柄が信用取引に対応しているかを事前に確認しておく必要があります。
- 貸株料や逆日歩が発生することがある: 信用取引の売建は株式を借りていることになるので貸株料が発生します。また信用売が急増して売りが買いを上回ってしまうと逆日歩というコストが発生することがあります。
- 信用取引の追証リスクがある: つなぎ売りは信用取引で行うため、追証リスクがあります。追証とは、信用取引の口座の評価額が一定水準を下回った場合に、追加の資金を預け入れることを意味します。株価が想定以上に下落した場合、追証によって自己資金以上の損失が発生する可能性があります。
つなぎ売りの税金
つなぎ売りをした場合の税金はどうなるのでしょうか?
基本的に現物は損失、信用取引の利益を出した時と同じになりますね
現物株式が損失になった場合は確定申告による損益通算は可能です。
一方信用取引で権利確定日を跨いだ場合、もしも配当金が発生する銘柄の場合は配当落調整金というコストがかかります。
※配当落調整金は売方が買方に支払うもので、これは譲渡益税の対象になります。現渡しの場合、譲渡日は現渡した日、譲渡価額は現渡で受け取った代金となり、売建ての約定代金と現渡した現物株式の取得価格に基づき譲渡損益が発生します。
まとめ
いずれにせよ、ノーリスクで優待ゲットラッキー!とはいかないんですね…
株式投資にノーリスクは存在しませんので、つなぎ売りをする場合も十分理解されてから行うことをおすすめします
つなぎ売りは、空売りよりも規制が緩く、信用取引金利の比較や貸株料収入といったメリットも存在します。しかし、空売りよりも複雑な仕組みであり、売買のタイミングが難しいというデメリットもあります。つなぎ売りを始める前に、十分な知識と経験を積み、リスク管理を徹底することが重要です。
このブログ記事が、つなぎ売りについて理解を深める一助となれば幸いです。
なお、つなぎ売りは上級者向けの投資手法です。十分な勉強と経験がないままに行うと、損失を被る可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。
免責事項
このブログ記事は、投資に関する助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。